最初は、特別な感情なんてなかったんだ。
ただの友達の友達。
たまたま隣になっただけの、何でもない存在。
でも、あの日。
わたしが何気なく話した冗談に、
あなたがくしゃっと笑った瞬間、
世界がふわっと明るくなった気がした。
そんなの、ただの気のせいかもしれない。
恋だなんて、そんな簡単に落ちるはずないって、
頭では思ってた。
でも、心はもう、
あの一瞬であなたに向かって走り出してたんだと思う。
目が合ったとき、
ほんの一秒もなかったのに、
胸の奥が小さく跳ねたのを、
今でもはっきり覚えてる。
“この人のこと、もっと知りたいな”
“この人ともっと笑い合えたらいいな”
そんな想いが、
静かに、でも確かに、わたしの中に芽生えてた。
それからの日々は、
些細なことで一喜一憂して、
あなたの言葉ひとつで、心が晴れたり、沈んだり。
あぁ、恋ってこんなふうに始まるんだ。
始まる瞬間って、
きっと、特別なドラマも、劇的な出来事もいらないんだ。
たったひとつの笑顔。
それだけで、
わたしの世界は、あなた色に染まり始めてた。
