初めてあなたと話した時、
その落ち着いた声と、目の奥の優しさに、私はなぜか少しだけ、
胸が苦しくなった。
歳の差なんて、最初は意識していなかった。
ただ、あなたと一緒にいると心が安らいで、
知らないうちに、私はあなたに惹かれていった。
あなたは、何も言わなくても全てをわかってくれる人だった。
私が何を言いたいのか、何を隠してるのか、
まるで見透かされているようで、
でも不思議と心地よかった。
だけど、距離が近づくほど、見えない壁もはっきりしてきた。
「こんなに歳が離れているのに、君は本気で言ってるの?」
あなたがそう言ったあの日、私は何も返せなかった。
年齢のこと、周囲の目、あなたが守ろうとしているもの。
全部、わかっているつもりだった。
わかっていて、それでも好きになってしまったから
だから苦しかった。
あなたはいつだって”大人”だった。
私の気持ちを受け止めることも、受け止めないことも、
全て自分の中で責任を持っていた。
そして私は、いつだって”子ども”だった。
ただ好きだという気持ちだけで、どうにかなるって思っていた。
どうにもならないことがあるなんて、
知らなかった。
たった数年の差なのに、
心の距離は、きっと何年ぶんも遠くて。
あなたが前を向いて歩いていくその背中を、
私はただ、少し離れた場所から見送ることしかできなかった。
それでも、私はあなたに出会えてよかったと思う。
あなたがくれた言葉の一つ一つが、
今の私を少しずつ強くしてくれているから。
この恋は、報われなかったかもしれない。
でも、無駄じゃなかったと胸を張って言える。
だって私は、あなたを好きになったことで、
ほんの少し、大人になれた気がするから。
