あのとき、どうして素直に言えなかったんだろう。
本当はずっと、あなたのことが気になっていたのに。
でも私は、なんでもないふりをしていました。
平気な顔をして、他の誰かの話をして、
あなたの視線を避けるように笑っていた。
たぶん、怖かったんです。
この気持ちを知られてしまうことが。
そして、あなたが何も感じていなかったら…と思うと、
少しだけ自分を守りたくなったんだと思います。
だから私は、“好きじゃない”ふりをした。
平気でいられる演技をした。
それなのに、あなたが誰かと話しているのを見ると、
なぜか心がざわついて。
ほんの小さな言葉に一喜一憂して、
あとでひとりになってから、
なんでもないそぶりを思い出して少し泣いたりして。
今となっては、伝えることもできないまま、
あなたはもう、遠くに行ってしまった。
ほんの少し勇気があったら、
何か変わっていたのかな。
あのとき、“好きじゃないふり”をした自分に、
いま、そっと問いかけてみたい。
「本当は、あの時、どんな気持ちだったの?」って。
