“もう終わった恋”のはずなんです。
連絡も取っていないし、写真も全部消したし、
共通の友達にあなたの名前が出ても、
平気なふりくらいは、もう上手にできるようになりました。
新しい予定もあるし、
ちゃんと笑ってる日だってあるし、
誰かに「いい感じの人できた?」なんて聞かれても、
冗談ぽく流せるくらいにはなったんです。
でも、ふとした瞬間に、
まだあなたを思い出すことがあるんです。
たとえば、帰り道に聴いた音楽。
たまたま入ったカフェで見かけた、あのメニュー。
前にあなたが言っていた映画がテレビで流れていて、
“あ、これ一緒に観たかったな”って思ってしまう瞬間。
もう戻らないって、
頭ではわかってるんです。
わかってるのに、
心が追いつかない夜が、まだ時々あって。
“あのとき、もっと素直だったら”
“違う言葉を選んでいたら”
“もっとあなたをちゃんと、大事にできていたら”
そんな「もしも」の想像が、
いまだに胸を締めつけるんです。
でも、今さらあなたに連絡なんてできないし、
また関係が戻ったとしても、
あの頃と同じにはきっとなれない。
それでも――
あなたが幸せに笑っていてほしいと思うし、
誰かの隣でちゃんと愛されていたらいいな、って、
少しだけ、願ってしまう自分がいます。
私はきっと、
あなたを完全に忘れたわけじゃなくて、
“忘れたふり”をしてるだけ。
もう泣かないって決めたのに、
心の片隅でまだ、
あなたの名前をそっと呼んでいる夜があります。
大丈夫。
この気持ちも、
いつかはやさしく風に溶けていくと信じています。
でも今だけは――
「まだ少しだけ、忘れられない」
そんな気持ちを、
ちゃんと自分に許してあげてもいいですか?
